バター、ビタミンE,Dr.プライスの’X’ファクター
ロイヤル・リー
Dr. ロイヤル・リー (click here to purchase bibliography) -
Dr.ロイヤル・リー、科学者、発明家、栄養研究家は恐らく食品から抽出された天然のビタミンを作るための標準プロセスラボ(Standard Process Laboratory)の創始者としての方が良く知られているだろう。
この論文は、リー栄養研究財団からのものでパトリシア・コナリーの前夫でPPNFの創始者の一人でもある故ジョセフ・コナリー氏のコレクションからのものです。
1942年まで知られていたバターにある栄養成分については疑問はない。バターには他の脂肪やもどきのマーガリンにはない以下の優れた特徴があるとなっている。
- わが国の最高のビタミンA供給源.(2)
- バターのビタミンAは、単位あたり魚の肝油の3倍の効果がある。.(2)
- バターにある天然のビタミンDは市販ビタミンD(ビオステロール)の100倍の効果がある。(3)
- 気管支炎、乾癬、眼球乾燥症、虫歯、クル病予防として医師がバターを処方した場合即効性がある。(1)
- バターは欠乏症状を予防するのに十分な量のビタミンEがある。(4,5)
この時以降バターには他にも栄養機能があることを示す新しい重要な証拠が積み上げられてきた。その証拠はビタミンE群の生理学的に派生する効果に関わっているようである。
これまでビタミンE=トコフェロールでその作用は生理学的抗酸化物質に過ぎないと考えられてきた。(7)ところがこのビタミンEは、実はトコフェロール群が酸化防止するE群の一部であり、このEの作用をトコフェロールだとしたのは間違いだった。これは丁度ビタミンDが純粋にビオステロールだとか、アスコルビン酸がビタミンCである、ナイアシンが抗ペラグラビタミン、ピリドキシンがB6、葉酸が肝臓の抗悪性貧血成分であるとしたのと同じ間違いであったことがはっきりしてきた。どの場合でも、ビタミンだと特定した成分の作用が合成したり複合的な自然の一成分の純粋な結晶のものと同じだとして、虹の彼方の「宝」を発見したと思い込んだもので、発見者はバツの悪い思いをしている。今日では、全てのビタミンが群であり、正常な生理学的カを発揮できるのは自然の食品にあるように群が完全な時だけであることは栄養の知識のあるものなら誰でも知っていることである。
真性のビタミンEは植物や動物の発芽組織や急速に成長している若い植物の染色質にある。これまでビタミンFと呼ばれていた特殊な脂肪酸を運ぶリン脂質であるようだ。(ビタミンFは初め小麦の胚芽にある脂質ビタミン群の一部として発見された。少なくともビタミンFは当初必須脂肪酸の一部を示すものとして使われていた。)
ビタミンFのような不飽和脂肪酸がE群の一部であるという事は、分子結合の時だと思うが、生殖での細胞分裂、上皮組織の維持(細胞分裂が盛ん)、肝臓と腎臓の代謝、共に上皮での活性で共同して働く関係にあることの説明になるのだろう。ビタミンE欠乏で骨が吸収され、ビタミンF欠乏で骨へのカルシウム供給が減るように二つともカルシウムの代謝因子であることの説明がつく。(9)
トコフェロールを過剰に処方すると骨のカルシウム損失になるのは丁度ビタミンEの欠乏によって起こるのと同じだ。(8)これもトコフェロールがビタミンEではないという証拠で、どちらかというと保護するものであり過剰になると僅かしかない本当のビタミンの使える量を減らすものである。それでは、本当のビタミンE群の本来の作用とは一体何なのか。
若草の因子は、ウェストン・A・プライス博士が「栄養と身体の退化」の第2版で「活性素X」と呼び春の草を食べた牛のバターにしかないものと言っているのと同じもののようである。「活性素X」は、非常に酸化しやすく、バターを作ってから数ヶ月で失われてしまう。「活性素X]は人間の骨や歯の健康と石灰化を促進している。カリエス・バチルス(ファクトバチルス・アシドフィリス)菌の増殖を完全に抑制する。ある試験では、「活性素X」の使用前には唾液中の細菌が68万個だったのが、使用後にはゼロになっている。
「研究の結果では」この草の因子が性的成長に関わっている。草の因子が得られない(トコフェロールはある)動物では性的に成長するまで23%余分に時間がかかる。
人の被験者にオレオ(商標名)マーガリンを与えて市販のバター(壊れやすいXファクターが少ない)と 比較した試験で、二次性徴が起きなかった、遅れだけでなく女性器の発達不良を起こすという同じ結果があったのは興味深い。以下に17歳までの子供の結果を示す。(10)
- 160人の子供にマーガリンを与え、107人にバターを2年間与えた。.
- オレオの女児の平均体重増は3.7kg/年
- 平均身長増5.06cm/年.
- バターの女児の体重像は2.85kg/年、身長増は2.28cm/年。
- オレオの男児は平均5.56cm/年、体重増は3.67kg/年。
- バターの男児では、3.03kg/年、、身長は4.04cm/年。
子供を去勢したときの影響の特徴は、成長が刺激され身長が高くなることである。研究者は、この結果はオレオを推奨するものだと言う。あなたはどう考えますか。
私達は、一人ひとり違います。男、女、白人、黒人、黄色人、成長や発育は体中の細胞にある特定の化学成分によって常に誘導され、体の設計図である染色体の中に精確に再現されているからです。これら遺伝学者にとっての決定因子は、酵素による消化や損傷に曝されるがそれから守るための脂肪層によって包まれ隔離されている。ビタミンE群が欠乏していると染色体が破壊され液状になってしまうことは良く知られている。
この決定因子は唾液にも分泌されていて(唾液腺細胞に異常にたくさんの染色体があるのはこのためかもしれない)出来るだけ速やかに食品成分を組織に変えてゆく。工場に入ってくる大量の鉄を最終製品に仕上げるためにどのような加工をするのかを示した設計図が付いてくるのによく似ている。
決定サイクルでビタミンなどの欠乏があると正常な成長プロセスが阻害されるのは当然のこと。
本能がオレオよりもバターを求めるでしょうか。
黄色のバターには白いのよりも活性素Xが多いから、誰も春の草を食べた牛の黄色い方を好むものでしょうか。
栄養のプロや"研究者"が必ずといってよいほどマーガリンがバターと同等品だと持ち上げてきたのはどうしてだろう。マーガリンが最初に作られた1886年、ビタミンが分かっていなかった頃でさえマーガリンの食品価値はバターと変わらないと学者が証言している。マーガリンにミルクの風味を加え本物のバターを巧妙に真似ていて、今後どんな成分がバターに発見されバターの方が一般に好まれる可能性がある今でも学者はそういい続けている。
ライチェンガー、アイゼンバーグ、カールソン博士らが報告した人の摂食試験よりも、動物実験によるマーガリンの評価の方がよい。これは、マーガリンの試験には必ずミルク蛋白が使われているせいであることは疑うべくもない。ミルク蛋白には、マーガリンにない独特の微量養分があり、それが欠乏症状を和らげている。この動物実験が科学的にまともであるというのは、有害なアルミニウム塩の入ったベーキング・パウダーにケイ酸ナトリウムをミネラル補助材という名の毒消しを入れてまともだと言っているのと同じだ。1948年議会の農業委員会でマーガリンの公聴会があり、H・J・デュエル博士がこの点について質問されている。(11)
マーガリンには他にも欠点がある。植物油に水素を添加して化学合成品する。水素添加するとビタミン、つまりリン脂質がすべて破壊されてしまう。水素添加機から出てきたものは臭くて食べられないので精製する必要がある。悪臭が取り除かれミルク風味を加えてバターに似せた後有害な安息香酸ナトリウムを加えて保存しなければ風味が悪くなる。
保存料として安息香酸ナトリウムを使っているというのが明るみに出たのは、マーガリンを無税化するための公聴会のときの証言である。(11)バターのような自然な食べ物には、アルファトコフェロール等によるビタミンEを保護する自然な抗酸化作用がある。バターにはこの抗酸化物質があるため有害な安息香酸ナトリウムのような合成保存料を添加する必要はない。マーガリンにはこのような自然な保存料がないため化学物質を添加しなければならない。ビタミンEをマーガリンに加えた方が安息香酸ナトリウムよりはるかにましだ。ただ、ビタミンEは安息香酸ナトリウムよりはるかに高価であるため使われない。
こんな有害な保存料は通常食品には許可されないものだが、小麦業界と食油業界は特別の恩寵を受けているようだ。初代の食品医薬品局長ハーベィ・W・ワイリー博士が、違法行為の許可を得なければ存在できなかったマーガリンのような食油製造メーカーの接触を断ったため1912年に失職したのは有名な話だ。博士が1930年に自費出版した「ピュアフード法(清浄食品法)に対する犯罪録」でワシントンに食品と医薬品の管理にこのような汚れた忌まわしい腐敗と悪質なごまかしがあることを告発したとき新聞は殆どこれを取り上げなかった。次の年に博士が亡くなってから、この本が流通から消えてしまった。著作権を持つ今も存命(?)の未亡人が再版も引用も拒否していて事実上この件に「蓋をして」しまったのである。
合成して模造し化学的(?)に防腐処理をしてバターの代わりにすることの代償は非常に高いものがある。いくつかを紹介すると;
- 成長期の子供にとっては性的去勢で、程度は様々だが女児が男児よりも太く高くなる。(肉用家畜は太らせるために去勢するのを思い出していただきたい)
- 歯や骨などカルシウム構造を維持できない。虫歯、歯周病、関節炎等当然ともいえる結果が起こり特に精製されて生命力をなくした他のものの影響もある状態ではなおさらだ。プライス博士が関節炎、歯科疾患、抵抗力の低下を良質のバターで治した実験はこの結果を証明している。
- 多発性硬化症がビタミンE群と強い関わりを持つ欠乏症であることを示す証拠が積み上がってきている(12)。また、ビタミンEが更年期障害(13)の治療薬であることが分かっており、この欠乏がいかに人生に付きまとうものであるかを示している。
枚挙に暇がないが、これで十分に根拠を示せたと思う。
プライス博士はエスキモーの女性を引用している。「20人の子供をいとも簡単に産んでおり夜中に出産が始まっても夫を煩わす必要がなかった。娘は顎が細く男の子のような体つきだった。母親と異なり出産が非常に困難だったためもう一人産むことはしないという、....両親の栄養状態が悪いために生じる奇形は程度が異なる。細い顎や鼻腔、腰、虫歯に罹りやすいといったプライス博士が伝統に生きる人達が民族食から貧弱な文明食に変わった時に見たことは、まだましだと言える。つまり、自分の身体的機能にはハンディキャップはあっても社会的には葬られないからだ」。(14)
参考文献
- Lee, R. and Stolzoff, J. S., The Special Nutritional
Qualities of Natural Foods, Report #4, Lee Foundation for Nutritional Research,
Milwaukee 3, Wisconsin, July, 1942.
- Fraps and Kemmerer, Texas Agricultural Experimental
Bulletin, 560: April 20, 1938.
- Supplee, G. C., Ansbacher, S., Bender, R. C., and
Flanigan, G. E., “The Influence of Milk Constituents on the Effectiveness of
Vitamin D,” Journal of Biological Chemistry, 141:95?107, May, 1936.
- Osborne, T. B. and Mendel, L. B., “The Influence of
Butter Fat on Growth,” Journal of Biological Chemistry, 16:423?437, 1914.
- Sure, B. I., Journal of Biological Chemistry, 74:71?84,
1927.
- Schantz, E. J., Elvehjem, C. A., and Hart, E. B.,
Journal of Dairy Science 23:181?189, 1940.
- Rosenberg, H. R., The Chemistry and Physiology of the
Vitamins, New York: Interscience Publishers, 1945.
- Bicknell, F. and Prescott, F., The Vitamins in Medicine,
Second edition, New York: Grune and Stratton, 1948.
- Lee, R. and Hanson, W. A., A Discussion of the Forms of
Blood Calcium, Report #2, Lee Foundation for Nutritional Research, Milwaukee 3,
Wisconsin, 1942.
- Science News Letter, February 14, 1948, page 108.
- Oleomargarine Tax Repeal, Hearings Before the Committee
on Agriculture, House of Representatives, 80th Congress, Second Session, March
8-12, 1948. Washington: U. S. Government Printing Office, 1948, pages
100?103.
- The Vitamins in Medicine, by Bicknell and Prescott. New
York: Grune and Stratton, 1948, second edition.
- Finkler, R. S., Journal of Clinical Endocrinology, 9:89,
January, 1949
- Norman and Rorty, Tomorrow’s Food, New York:
Prentice?Hall, 1947, pages 49?50.
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