慢性疲労症候群とイースト
ウィリアム G. クルーク,医師.
過去7-8年間専門家や市民の間で読まれたり聞かれたりする病気、ニューヨークのディビッド・ベル博士によると「千の名前のある病気」がある。慢性疲労症候群(CFS)。この病気は何十年、いや何世紀も記述されてきていたが、注目を引くようになったのは、1984年にレイク・タホの湖岸にあるリゾートタウン、ネバダのインクライン村で数百人の人が集団で罹ってからだ。
初めは、慢性エプスタイン・バーウィルス症候群(CEBVS)と呼ばれた。しかし、ラボ検査の結果この病気に罹っていた多くの人がエプスタイン・バーウィルスの抗体陽性ではなかった。1988年の春に、慢性疲労症候群と変えられ、この名がずっと使われてきた。しかし、ノース・キャロライナのポール・チェニー博士と彼の同僚は、別の名を提唱している;慢性疲労・免疫不全症候群(CFIDS)である。
更に別の人は、「疲労」という言葉では病気が軽く聞こえてしまうと感じどちらも気に入らなかった。そして、唱えたのが慢性免疫不全症候群(CIDS)である。
CFSが殆どのアメリカ人に知られるようになる前にも英国、オーストラリア、ニュージーランド、カナダでは筋肉脊髄炎という名で呼ばれる病気について書いたり話したりしていた。 英国では、ロイヤル・フリー・ホスピタルを含むたくさんの病院でこの病気が流行していた。 それで、ここではロイヤル・フリー病と呼ばれた。流行はアイスランドでも起こっておりアクレイリ病と呼ばれていた。そして、オーストラリアでは別の名で呼ばれていた。
アメリカの専門化グループは、これと極似た(おそらく全く同じ)病気を記述しており、繊維筋肉痛症候群(FMS)と名づけた。 そして、ヘルスラインの読者は知っていると思うが、ここ数年間アメリカや他の国で多くのプロ・ノンプロを問わずオリアン・トラス博士の記述した似た症状を持つ慢性カンジダ症の見解を知った。
CFSについてもっと知るためにブラウン大学(1988)、カリフォルニア大学(1989)、CIFIDS協会(1990)の会議に出席した。これらの会議でロバート・ハロウィッツ博士、キャロル・ジェソップ博士などの講演者は、大多数のCFS患者は、砂糖無しの特別食とナイスタチン、ニゾラル、ジフルカンなどの抗菌薬投与の総合治療によく反応したと報告した。
私はCFSに興味があったので、一年程前から新たに図入りの慢性疲労症候群とイースト・コネクション、よく誤解される病気に罹っている人、その世話をする人の“健康になる”ガイドと題した本を書き始めた。(発行日1992年7月24日)
この本では慢性疲労症候群として知られる病気を起こすのに関与しているたくさんの要素を扱っている。これには、ウィルス感染、食品過敏症、化学汚染物質、栄養障害、寄生虫、精神ストレスなどがある。
CFSに罹った人の中には、1984年のネバダのインクライン村や1930年ロサンジェルス病因で起こったのと似た流行性ウィルス感染に罹った直後とズ全発症した人がいる。しかし、CFS臨床研究医キャロル・ジェソップは、この病気は特に以下の経歴のある人の場合、知らぬ間に発症していることを示した;
- 年少の頃、成人期、成人後に抗生物質を何度となく処方されている
- 再発性のヴァギナのイースト感染
- 砂糖とアルコール多使用の食事
ジェソップ博士は、カンジダ類の複合病患者を見ている医師同様、CFSに罹った殆どの患者が以下内容を含む総合治療計画で回復することを見出している。
- 砂糖無しの栄養豊富な食事
- 抗菌薬
- 人の少ない家庭や仕事環境
- 精神的サポート
- 必須脂肪酸
- マグネシウムの入った栄養補助食品
マグネシウム
あなたが国際保険基金の読者のようでしたら、何年もカルシウムが重要だということは読んだり聞いたりしてきたことでしょう。多くの人、特に女性はカルシウムをサプリメントとしてとり骨粗しょう症などの病気を防ごうとしています。
私が何年も前に小児科の訓練を受けていた頃、急性腎臓病のこどもの高い血圧を下げるために硫化マグネシウムを注射していた。マグネシウムは、下剤としても使われていた。しかし、マグネシウムが医者や病院や養老院を避けるための重要な役割をしていると気付いたのは、ミルドレッド・シーリグ医師の論文をいくつか読んだ60年代半ばだった。
その後、1977年の9月にExecutive Health誌の「食事で十分なマグネシウムを摂取しないことの危険性」という論文を読んだ。心臓と血管の異常が強調されていたが、不眠、緊張、不安で病院に来る患者はマグネシウム欠乏であるという所見が引用されていた。
200人以上の患者で試験したプレトリアのW ・S・デービス医師は不眠と戦うために塩化マグネシウムの錠剤を使った。報告では、眠りが急速に誘導され、中断することなく目覚めの疲労感は99%の患者で無くなったとある。
日中は不安と緊張が減少しました。さらに、12ヶ月間寝る前に250mgの塩化マグネシウム錠剤を8個飲む長期試験に参加した患者のグループで副作用のあったものは一人もなかった。(W・H・デービス、F・ズイアディ「睡眠へのマグネシウムの役割」モントリオール・シンポジウム、1976)
Executive Healthの論文では、モーガンタウンのウェスト・バージニア医科大学エドマンド・B・フィンクの所感も出ていた。国際会議の席でこのマグネシウム研究者が述べたことは、
- マグネシウム欠乏が実在し一般的でさえある、
- 一般的だが、検知されていない場合が多い、
- 欠乏は恒久的損傷を起こし、致命的な場合もある、
- 欠乏症状は多様で異なる、
最近受取ったフィンク博士の手紙では、「急性マグネシウム欠乏が、利尿剤、シスプラチン、又はアミノ・グリコシドを数週間使った後に起こる場合がある」といっている。
ベーカー、キャランド、ギャビィの意見
これらの報告にもかかわらず、私は自分の小児科やアレルギーの患者にこの重要なミネラルを使うことをあまり重要視していなかった。そして、80年代初期にカンジダが関係する障害について知り、マグネシウムについてシドニィ・マクドナルド・ベーカー博士に相談した。彼のコメントは;
「マグネシウム欠乏は広範です。マグネシウムの一日の平均所要量は500mgから1000mgですが多くの人がそんなに摂っていません。私の患者には、経口塩化マグネシウムを勧めています。
薬剤師は25%溶液を作ってくれます。一日用量は、茶さじ1−2杯ですが、飲み難いので水か何かの液体で薄めて飲みます。マグネシウム液をしばらく飲んで症状が良くなったら錠剤タイプのSLOW−MAG(Searle社製)塩化マグネシウムに変える事もあります。
一年か2年後ですが、The Yeast Connectionを改訂増補しているときべ−カー博士の以前の同僚だったレオ・ガランド医師からマグネシウムについて更に訓えて頂きました。
ガランドもベーカーのようにマグネシウム欠乏は一般に考えられているよりも頻繁に起こっていると言います。 マグネシウムの多い食べ物として以下の物を挙げています。
「マグネシウムの多い物は必須脂肪酸も多い。海産物(全粒穀物、ナッツ、豆類を含む)比較的多いものとして蕎麦、ベーキング・チョコレート、綿実、御茶、全粒小麦、コラードやパセリなどの葉物野菜です。海産物、肉、ナッツ、果物にもミネラルは豊富です。更に、マグネシウムを消耗する飽和脂肪やソフトドリンク、特にカフェインを含むものを避けることでマグネシウム貯蔵量を維持できます。」
アラン・R・ギャビィ医師はマグネシウムについて最近の論説で;
「適切に処方されたマグネシウムは全く副作用がありません。それに費用も無視できるほどです。
マグネシウムを安全で効果的、極めて安価な処置として心臓血管病に使わないのは、あらゆる重大疾患に安価で毒性の低い治療をしないのと同じです。このような医学的に適切な方法は殆ど医薬品メーカーの特許にはなっておらず、毎年多くの命を救い何十億ドルもの節約になります。」(先端医療ジャーナル、1,4:179-81,1988)
マグネシウムや処方箋の要らない治療法(必須脂肪酸など)の効果を読んで、効果で毒性のある薬を慢性消耗病の症状がある人達に使う必要があるのか考えてしまった。
慢性消耗病の筋肉内マグネシウム
最近イギリスで行われた研究で、CFS(慢性消耗病)患者の筋肉内マグネシウムの効果を記述している(I.M. Cox, M.J. Campbell 及びD. Dowson,「赤血球マグネシウムと慢性消耗症候群」The Lancet, 337:75760, 1991.)
ランダムで二十盲検の偽薬対象試験でCFS患者20名の赤血球マグネシウムレベルが年齢、性別、社会的階級が同等の20名の健康な対象群より低かった。
補足
1990年ノース・キャロライナのシャーロットで開催されたCIFIDS会議でキャロル・ジェソップ博士はこう述べた;
「低マグネシウムレベルは一般的でこれはマグネシウム試験のために24時間尿のサンプルを採り続けることでしか分かりません。それから、3日間毎日400−500mgのマグネシウムを患者に与えます。3日後に再度尿検査を行ってどれくらい体にマグネシウムを保持できるかを調べます。50%以上保持していれば、十分です。それは、マグネシウムが筋肉を緩めるのに大変重要だからです。線維筋肉痛患者の多くがマグネシウムを食事に追加することでよくなっています。「」
低亜鉛レベルも良く見られます。ただし、これは血液検査では僅か32%の患者しか分かりません。血液検査は、オフィスではやりにくいですが汗検査ほど性格ではありません。傷が治り難いとか爪甲白斑症があるというのは亜鉛不足の兆候です。どちらの微量要素も腸で吸収されますからこれらの患者の吸収が悪いということになります。」
1991年8月私との話の中で、医療における栄養誌の編集長ステファン・デービス博士は、
「CFS患者は殆どいつもマグネシウム不足です。私達の調査研究では亜鉛とどうも不足していることも多いですね。」と述べている。
シェリー・ロジャーのコメント;
マグネシウム欠乏は理解されていないし処方も少なすぎることが次第にはっきりしてきています。と同時に表面的に関係ないと思われるたくさんの症状の原因である可能性もある。厄介なことにこのような症状処方されるとマグネシウムをさらにさげるという副作用があります。」(S・Aロジャー「認識されないマグネシウム欠乏のため広範な症状が隠れている:経口マグネシウム負荷試験」国際臨床栄養レビュー 11, 3:117-29, 7月 1991)
まとめ
結論としてマグネシウムは慢性消耗病など様々な病状に効く安全で安価なもののようだ。実験室での研究はないものの硫化マグネシウムや塩化マグネシウムは慢性消耗病の治療の一手段であるべきだ。
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