有機食品の栄養価は?
    
プライス・ポッテンジャー栄養財団
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有機栽培食品の栄養価は高いのか?

バージニア・ワージントン, ScD

この論文は、代替療法1998年代4巻58-69ページに掲載された「農法による栄養価の影響:有機作物と慣行作物の比較」と題したワ−ジントン博士の論文を要約したものです。


化学肥料が商業的な大規模使用が始められた1920年代以来、農業用化学物質によってできる作物は健康的にも栄養的にも劣ると言われてきた。 1940年代には、化学物質を使わない伝統的農法の方が健康的だという考えのもと有機農業運動がはじまった。 この方法で作られた食品が「有機」として知られるようになった。 現在、この発想は代替健康分野で受け継がれ、ゲルソンのガン療法のような代替医療は有機食品だけを使っている。 しかし、有機的に栽培された食品はより栄養価が高いのかという疑問はそのままになっている。


 この疑問に、はっきりした回答が出ていないのにはいくつか理由がある。 第一に、健康影響という面で違いが小さく直ぐに分からない。 つまり、有機食で健康だった人が化学肥料農薬で作った食べ物を食べて急に重病になれば、違いは明らかだがこんなことはない。 違いはもっと微妙でアレルギー発生率が8%増加したといったようなことは検証が難しく見過ごされがちだ。

第二の理由は、栄養分の農業研究調査をすることとその解釈が難しいことがある。 日照、温度、降雨といった条件が食物の栄養価に影響し、また年毎に違う。 保存虫や輸送中に栄養価の変化が起こる。 このような理由で、有効な研究計画を立てるのも結果を解釈するのも難しい。 その上、これらを考慮すると別々の研究結果を比較するのが困難でもある。

 最後に、研究の多くが比較的古いもので現代の基準で実施されていない。 特に、古い研究には厳密な統計分析が含まれていない。 この点だけでも評価することを困難にしている。 その結果、これらの研究は意味がないとして無視する人もいる。

 証拠はあるのか? 有機作物と化学肥料農薬の慣行栽培された作物の栄養成分を比較した研究は30以上ある。 これらの研究では、作物ごとに有機と慣行人参の亜鉛、有機と慣行ブロッコリーのビタミンCという具合に色々な栄養価が比較されている。 これらの研究では300以上の比較が行われていて、有機作物の栄養価が高い場合が40%あり、慣行作物のほうが高いのが15%しかなく、総合的に有機が同等またはそれ以上の場合が85%になる。 この結果から、平均的に有機作物のほうが栄養価が高いことが示されている。

 全体としての状況は有機作物に有利だが、殆どの栄養素について何か言うにしてもデータが少なすぎる。 3つの栄養分、ビタミンC,硝酸、蛋白質については、有機の物が慣行の物よりも優れているという十分な証拠がある。 化学肥料と農薬で育ったものよりも有機の作物はビタミンCの含有量が多く、発がん性のある硝酸が少なく、蛋白の質が良い。 他の栄養素については更に研究しなければ結論を出すことは出来ない。
 

この栄養素のデータは面白いが、これを消費する人間や動物の健康については何も示さない。 最も関係する研究は、単に栄養素の含量を評価するものではなく、動物に有機の物と慣行の物を与えた時どちらがどれくらい健康かを見るものになる。 そのような動物実験をしたものには過去70年間に14件ある。 このうち有機飼料の動物によい結果が出ているのが10件、有機飼料を与えたものが化学肥料の飼料以下だったのが1件、そしておそらく試験設計が悪かったためと思われるが違いがなかったのが3件。 

良い結果の出た10件のまとめは表1にある。 ここの結果でも有機生産した作物が健康につながり、したがってより栄養があるということになるようだ。 病気だったり新生児のような弱い動物、そして精子の運動性といった生殖の敏感に出る部分への良い影響は格段に違いがある。 特に注目に値するのは、化学肥料、農薬で栽培された餌を与えられた動物の繁殖力が、世代と共に落ちることだ。 これは、ポッテンジャー博士が最善とはいえない餌を与えられた猫の健康が世代と共に悪くなっていったのを思い起こさせる。

 結論として、これまでの研究では、有機栽培の作物は平均して化学肥料や農薬で栽培された作物よりも栄養価が高いのではないかと思われる。 そして、動物実験では、有機生産した飼料は長期的に特に生殖の面では健康によりよいという主張を支持している。 これらの研究は伝統的、有機農法に戻ることを支持している。

 

表1. 10の動物実験結果のまとめ:
有機飼料と慣行飼料の比較
繁殖
雌:卵子の生産がウサギ(6対3/羽)と鶏(192対150/羽)で多い。
雄:ねずみで精巣の状態が良い:雄牛の精子運動性が高い。
子:出産前後の死亡や離乳前の死亡がうさぎ(死亡率27%対52%)、マウス(死亡率9%対17%)とねずみで少ない。
全体: ウサギの繁殖率は、有機飼料給餌のものは3世代変わらず、慣行飼料給餌では落ちている。
体重維持と成長
  • 多発性神経炎の鶏では、体重減少(22.4%対37.4%)が少なく、生存日数(50日対33日)が長い。
  • 授乳中の雌ネズミの体重維持が良い。
  • 体重増加率では若いネズミ(77%対51・4%)と鶏で高い。
  • .コクシジウムに罹った後の体重増加がよく病気に罹りにくい。

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page last modified:  01/18/2001

 

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