プライス―甥と姪への手紙
    
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姪と甥への手紙

ウェストン・A・プライス, DDS, MS

[編集者注: ウェストン・プライスがこの感動的な手紙を甥と姪に書いたのは恐らく1934年と思われる.]

親愛なる姪と甥:

 私は、君達一人一人の健康だけでなく、家族の健康と福祉に深い関心を持っている。 特に産業や経済的圧力が掛かる時には、子供達が一生ハンディキャップを負うような障害に罹らないようにする事が大切です。 予防的で適切な栄養プログラムが比較的安価に手に入り、一般的な食べ物よりも安いことが多いのは幸運です。 私がここに概略書く簡単な方法を守れば、あなたたちの子供が虫歯になったりすることはないでしょう。

食べ物を選ぶ際にミネラルとビタミンについて奨められることが二つある。 一つは毎日特別なメニューを詳しく書くというものだが、これはうまくゆかない。 二つ目は、体が毎日必要とするものを満たすために選ぶ食べ物を規定し、ガイドする一般原則の形で守るというもの。 私は後者のほうを原則を交えて概略示そうと思う。 

車に使うガソリンに二種類の選択があるとしよう。 一つは、普通のガソリンのようにパワーを出すだけのもの、もう一つはタイヤの減りを補うガソリンでオースチンをピアース・アロウに変えるほどどんどん新しい層が成長するものとする。 値段に大きな差があってもどちらを使うかははっきりしている。 これが、人体で起こる状況に非常に良く似ている。

私たちには食欲という空腹を示す感覚があってこれが満足されるまで食べるが、これは力と熱を作る食べ物の部分にしか当てはまらない。 体を作り古い組織を修復するために必要なミネラルや化学成分、ビタミンなどへの空腹感はほとんどない。 近代文明では、エネルギーが低くてミネラルがたくさんある自然な食べ物から遠ざかるという悲劇的過ちを犯して、熱とエネルギーを作る食べ物を多く摂るようになっている。 このエネルギーは、近代食品が体内の湿潤工程や特殊器具による乾燥工程で燃える時に使う酸素の量で表現されカロリーという単位であらわしている。

ほとんどの人は、活動の仕方で毎日2000―3000カロリー必要です。 同様に、2gのリン、1,5gのカルシウムが体の維持に毎日必要です。 問題は、カロリーの必要限界を超えないでミネラルやビタミンを摂取することです。 私達の身体は十分なカロリーを取ると食欲が充足されて食べるのを止めますが、ミネラルやビタミンは一日摂取量を得られないでしまう可能性があります。 シリアル、ミルク、海産物が空腹を満たすと同時に体の要求を満たす自然の恵みです。 近代文明は、カロリーが高すぎる一方でミネラルが少なすぎるというメニューでこれに替えてしまっている。

次に大きな問題は、燃料を効率的に使うようにバッテリーを充分に充電しているかということです。 ビタミンは、動物や人間のバッテリ−を充電するものです。 最大の困難は、ビタミン、特に脂溶性のビタミンを充分に摂ることです。 これを代替品にはならない合成したもので間に合わそうという傾向が強くなってきている。 私達の食べ物の中にあって体が利用するミネラルの量は、この賦活成分でほぼ決まってしまう。 この原則を毎日の食生活に取り入れてみたい。

私達の体の限られた空間を特に益のない食べ物で一杯にするのは賢いとはいえない。 リンの一日摂取量をジャガイモで得ようと思ったら7.5ポンド(1ポンド=454g)、ビートでは11ポンド、人参では9,5ポンドも必要で、どれもカロリー摂取量が高くなりすぎる。 これがレンズ豆だと1ポンドで必要なリンが得られるしカルシウムもある。 魚だと0.8ポンド、チーズだと0.6ポンドで一日のミネラル量が得られる。 生乳は、唯一といえるほど最善のもので、カロリーと共にミネラルが短時間に得られる。 大事なことは、日量のリンとカルシウムとビタミン特に脂溶性のビタミンを摂取することです。 

食べ物としての果物の価値には誤解がある。 もちろん副食としては望ましいのだが、どれもミネラルが非常に少ない。 例えば、リン2gを得ようと思ったら一日にりんご37ポンド(1ポンド≒454g)、みかんでは26ポンドも食べなければならないし、これがジャムやゼリーになってしまうとオレンジ・マーマレードでは32ポンドも必要で、33,000カロリーにもなってしまう。 3000カロリー以上摂取できる人はほとんどいない。 蜂蜜で2gのリンを得るには、30,000カロリーにもなり、重量では28ポンドにもなる。 同様に、メープルシロップでは34ポンド、85,000カロリーが必要になる。 子供に与えられる最も貧弱な食べ物は、白いパンにジャムとかパンケーキにメープルシロップといった組み合わせで、これは大人にも良くない。 というのは、成長期に大きな成長ストレスがあることを除けば大人も子供も同じ問題があるからだ。

基本食は、穀物全体つまり全粒小麦、ライ麦、オート麦、全粒小麦やライ麦パン、全粒小麦やオートのシリアル、オートケーキ、これらにたくさん使ったほうが良いミルクやチーズなどの乳製品、そして海産物。 全ての海産物と地下水や海水にはミネラルが豊富で人間が得られるものでは最も望ましいものです。 鰯、マグロ、鮭などの缶詰も良いし、新鮮な牡蠣やオヒョウ、タラなども素晴らしい。 蛋白質の一日必要量は卵一個か卵一個の大きさの肉で間に合う。 食事は、生や調理した野菜と共に摂ってかなり変化を持たせる事が出来る。 調理した野菜ではレンズ豆をスープにしたものが最も良い。 調理する野菜には、カリフラワー、プロッコリー、アスパラ、セロリがある。 レタスは生野菜の王様。  

澱粉(精白した)や砂糖を減らすこと。 甘いものは、空腹を満たしカロリーを与えるためミネラルを排除するだけでなく、食欲を満たすので食べ物の総量が減ってしまう。 精白小麦製品やパン菓子類は最小限にすること。 ミネラルが最も豊富なものにはチーズがある。 シリアル、マフィン、パンには粉にしたばかりの小麦を使いなさい。 製品が新鮮でないものの小麦胚芽の栄養分は、酸化して失われてしまう。 

脂溶性のビタミンが得られる食べ物はほんの僅かしかない。 事実上全ての淡水、海水産の魚など水産物、急速に成長する小麦の新芽や青草や干草を与えられた牛のミルク、チーズとバター特に6月に作られたバターがそれ。 これは、他の季節に作られたどんなものよりも栄養豊富だよ。 バターはそれに含まれるビタミンを主目的に食べなさい。

君たちに最も困難と思われるのは、君たち自身と子供達が脂溶性の賦活成分やビタミンを十分に得られるかどうかということだね。 人間は哺乳類だからミルクや乳脂肪から得られる様に体ができている。 スキムミルクにはないものだよ。 両親のコーヒーにクリームを取ってしまったら子供達のミルクにはたいしたものは残らなくなる。 出来る限り6月のバターを冬用に取っておくと良いね。 タラの肝油は適量与えると害もなくとても体に良いものだよ。 しかし、茶匙一杯以上を長期間与えるのは、時々中毒が起こるからやらないこと。 タラの肝油は、食品中のミネラル利用を助けるので食事前後よりも食事と一緒の摂るのが良い。 

今では、唾液を調べることでその人に虫歯があるかないか知ることが出来るようになった。 忘れてならないのは、虫歯を予防するには防衛的化学成分がなければならないし、それを唾液にもたらすのはミネラルや脂溶性のビタミンが豊富にある食品だ。 唾液は、消化に非常に重要なミネラルを与えるので、食べ物は物理的に唾液がしっかり出るようなものでなければならない。 子供達が飲み物で食べ物を流し込むようなことをさせてはいけない。 子供達は一日一クウォートのミルクを毎食後か一部食間に飲むようにさせると良い。

そこでいい方法だが、砕いたばかりの小麦か燕麦で作ったシリアルにクリームかミルク、そして砂糖は味付け程度の最小限にして食べると良い。 製粉したばかりの全粒マフィンにビタミン豊富なバターをたくさん塗って与えればミネラルやビタミンの素晴らしい摂取法になる。 これらは、あまり甘くしていない果物ソースやアップルソースで食べても良い。 甘すぎるマーマレードやジャムは食欲を無くすしビタミンやミネラルとカロリーのバランスを崩してしまう。 ビタミンやミネラルの一日摂取量がまず満たされればジャガイモや野菜などのかさばる物で腹を満たしても良い。 一年を通してないのが普通だけれども、6月バターが手に入らず、冬用にとっておいた物もなければ、冬の間には少しタラの肝油で補うのが良い。 

私が調査したこの国や他の国の成長期の子供達は、ビタミンやミネラルが豊富な食べ物を食べていれば例外なく虫歯が全くない。 カロリーが高く、ミネラルが少ない現代食を食べている場合は、虫歯が酷く蔓延していた。 リンの必要量を白いパンで得ようと思ったら3斤食べなければならないが、これだと体が利用することは到底出来ない10,000カロリーにもなってしまう。 これをスキムミルクと一緒に食べるとなれば間違いなく虫歯になるし時にはひきつけを起こすようにもなる。 未開の人達の安全弁は、カロリーが高くミネラルが少ない食べ物を手に入れる手段がなかったことだが、彼等も近代食を食べ始めると例外なく直に虫歯になってくることが私の調査で分かった。

この食事法がうまく行くという実証は、ザ・デンタル・ダイジェストにシリーズで論文を書くので見られるようになると思う。 これらの論文では、虫歯は症状で病気ではないことを強調することになると思う。 虫歯は栄養障害の証拠であって、全面的に口の手入れが悪いせいだと一般に言われていることとは違う。 このことを真剣に問い直す時期にきていると思う。 講釈をしていると思わないで欲しい。 君たちを心から愛しているし本当に健康に暮らして欲しいと願っている。 

愛をこめて、叔父ウェストンより


編者注: ウェストン・プライスがこれを書いたのは、おそらくスイスの村やゴールの島の人たちを調査した後で、エスキモーやアフリカなどの動物性食品が多い民族を訪れる前の1934年だと思われる。 したがって、後になってよりも穀物が強調されている。 また、これを書いたのは不況の頃で肉が高かった。 今日では、ほとんどの民族が穀物の多い食事で不健康になっている。 

また、現在商業的に手に入るミルクは、彼の甥や姪がいるカナダや中西部のものに比べて極端に質が落ちている。 未開のスイス人がミルクから得ていたような恩恵を得るには、バイオダイナミックヨーグルトや昔ながらのチーズ、生乳など牧草を食べた牛のものを探す特別の努力が必要になる。 脂溶性の賦活成分を十分に得るという課題は残る。

プライスが食事中のリンの重要性を強調しているのに注目して欲しい。 現代思潮は、肉や卵はリンが多すぎて『酸が強くなる』ので避けるべきだと警告している。 プライスは未開食に動物性のものや全粒穀物からのリンが豊富にあることを発見している。

全粒穀物のリンはフィチン酸に結合していて、未開人がしていたように発芽させるか水で膨らますかサワー醗酵さっせるか長時間かけてじっくり調理してうまく中和しない限りミネラルが取り出せない。  フィチン酸は、この手紙の数年後に発見されているので、プライスはスイスやゴール人がどのように穀物を調理していたかを見ていないためこれらの調理法は知らなかった。 プライスが、オートミール用にメープルシロップよりも砂糖を認めているのはどうしてか分からない。 私達は、ミネラルが豊富なメープルシロップやその他の自然な甘味料を砂糖の替わりに、それももちろん少量だが、を奨めている。

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page last modified:  01/18/2001

 

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