代謝タイプ分類: スロー酸化タイプ,ファースト酸化タイプ
    
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バージニア・ワージントン, PhD
1950年代初期にカリフォルニアの生化学者ジョージ・ワトソン博士は、精神病患者の代謝異常を研究している時、患者ごとに脂肪と炭水化物をエネルギーに変える代謝の仕方が違うことを発見した。 この情報を元にワトソン博士は、エネルギー代謝によって人間を分類し適切な食事とサプリメントを処方することが出来た。 その後、ウィリアム・ケリー博士がこの代謝タイプ方式をガンや退化病の患者治療に取り入れた。 この論文では、ワトソン博士の方法を実際の応用をいくつか交えてみてゆきます。

食べ物をエネルギーに変える

 この考え方を理解するためには、まず食べ物がいかにエネルギーに変わるかを知る必要がある。 食べたものは身体の中で分解されエネルギーを作るように加工される。 炭水化物と脂肪はどちらもクレブスサイクルでエネルギーとなる前に適当な量が燃やされるか酸化される必要がある。 余分な蛋白質も、特定の蛋白質からのアミノ酸は脂肪のように、また別のものは炭水化物のようにエネルギーとして使われる。このエネルギー生産は図1に示されている。
 ワトソン博士は、炭水化物の酸化が脂肪に対して早すぎても遅すぎても問題を生じることを発見した。 炭水化物を急速に酸化する人たちは、急速酸化型とされ、遅すぎる人はスロー酸化型と分類された。 一般的な用語を使うと、急速酸化型の人は、低血糖症タイプでスロー酸化型の人は糖尿病タイプとなる。 

急速酸化タイプ

 ワトソン博士は、それぞれのタイプにはそれぞれ合う食べ物があって、一方のタイプに良い食事や栄養はもう一方のタイプにとっては合わないものであることを発見した。 急速酸化の人は、脂ぎった肉が多くて単純な炭水化物が少ない食事で快適になる。 この食事では、脂肪の処理を助ける脂肪とプリン体(RNA,DNAの一部)が得られる。 更に急速酸化タイプの人は、脂肪を酸化するために不可欠な特定のビタミンやミネラルを使ってうまく処理できる。 総合的結果として、急速酸化タイプ用の食べ物と栄養を摂る事によって脂肪の処理が加速される。 急速酸化タイプの食べ物と栄養は表1に示した。

スロー酸化タイプ

これと対照的に、スロー酸化タイプでは炭水化物、果物、野菜、魚、乳製品を摂ると快適になる。 スロー酸化型の人には、炭水化物を処理するのに使われる栄養素が消化の助けになる。 ワトソン博士が発見したスロー酸化型の人の食べ物と栄養素は表2に示した。

表1.
急速酸化型の人の食べ物と栄養素

1. 蛋白質:プリン体が多い蛋白質食品 例えば、レバー、腎臓、その他の臓物、肉のグレイビーやスープ、ニシン、鰯、 ムール貝、キャビア、
 プリン体がある蛋白質、例えば、その他の肉の、鶏肉、七面鳥、その他の魚、きのこ、イースト,レンズマメ、豆類、ピーナッツなど

2.野菜: プリン体のある野菜、例:アボカド、アーティチョークの中身、豆、ピーズ、レンズマメ、カリフラワー、ほうれん草、アスパラガス、人参、セロリなど

3. 澱粉質: 全粒粉のパンやシリアル等プリン体のあるもの

4. 甘いもの:チーズケーキ、トルテ、デニッシュ・ペーストリー等

5. 油:ラードとバター

6. その他: 避ける物:ケチャップ、スパイスの多いソース、ソフトドリンク、コーヒー、お茶、ワイン、その他のアルコール飲料

7. 栄養素: ビタミンA、ビタミンE,ビタミンB12,ナイアシンアミド、パントテン酸、コリン、イノシトール、 シトラス・バイオフラボノイド、カルシウム、沃素、リン、ナトリウム、亜鉛

表 2.
スロー酸化型の人の食べ物と栄養素

1. 蛋白質:ミルク、乳脂肪、カッテージチーズ、卵、魚(ニシン、鰯、カタクチイワシ、マグロ、鮭以外のもの))

2. サラダ: レタス、ピーマン、玉葱、蕪、キャベツ、漬物、きゅうり、等

3. 澱粉: ジャガイモ、米、スパゲッティ、マカロニ、パン、クラッカー、シリアル等

4. 甘いもの:果物、ジャム、ゼリー、練り菓子、アイスクリーム、キャンディ、ゼラチンデザート等

5. 油: ラードやバターの代わりにオリーブオイルやココヤシ油

6. その他: 強いアルコールはダメ

7. 栄養素:ビタミンD.ビタミンK、ビタミンC 、、ビオチン、葉酸、ビタミンB1,ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、 PABA(パラアミノ安息香酸),鉄、カリウム、マグネシウム、銅、塩化物とマンガン

バランス酸化型
第3のグループは、正常な代謝型であるバランス酸化型。 この人たちは、蛋白質、脂肪、炭水化物がバランスの取れた食べ物で快適になる為、多くの食品の恩恵を受けることが出来る。

 もう一点、酸化速度は、スロー型、急速型、バランス型のどれかに定まることがない。 正常な人の多くは、風邪やインフルエンザの時は脂肪も炭水化物もスロー酸化になるが、病気が治ると正常な酸化速度になる。 更に、ウィリアム・ケリー博士は、ガン患者では最初急速酸化型だったのが数ヶ月の治療を受けるとスロー酸化型になることを発見している(2)。

栄養と心
 この食事療法を使って、ワトソン博士はエネルギー代謝が異常な精神病患者のサブグループを治癒することができた。 不安症、鬱、妄想性痴呆等の症状の何例かは劇的変化があった。 ワトソン博士は、更に、正常な人の食事を制限することによって精神神経症状を起こすことが出来た。 脂肪と蛋白質を制限した食事では、正常な人全てが人格が退化した。 食事制限の影響は人によって症状が違い、引きこもり,不安症、鬱から暴力、精神病まで出た。 これらの結果は、心が健全であるためには栄養が重要であることを浮き彫りにしている。

実験室テスト
 自分がスロー型、急速型又はバランス型かを知るにはどうしたらよいのか。 ワトソン博士は、代謝タイプを決めるための実験室テストと食品嗜好テストを考案した。 スロー型と急速型の実験結果は表3に示した。 

表3. 急速酸化型とスロー酸化型の実験結果
実験室テスト 急速酸化型 スロー酸化型
空腹時のグルコース 低い 高い
総脂質 高い 低い
耐糖能試験 一時的に血糖値が空腹時以下にまで下がる 血糖値が異常上昇


 残念ながら、これらの検査では異常な酸化速度を正確に検出することは出来ない。 耐糖能試験を例に取ると、急速酸化型を検出できない場合もある。 ワトソン博士は、別のより精確な試験をしたが、この方法は一般的になっていない。

食品嗜好テスト
 急速、スロー、バランス酸化型は、それぞれ食べ物の好みやそれに対する反応も違う。 急速酸化とスロー酸化型の好みは表4に示した。 食べ物の好みや反応が急速酸化型の列に多ければ、急速酸化型の傾向がある。 逆にスロー酸化型の列に多ければ、スロー酸化型の傾向がある。 バランス酸化型では、両方の列の反応や傾向を併せ持っている。

表 4. 急速酸化型とスロー酸化型の食べ物の好みと反応
急速酸化型

ジャガイモが好き
グレープフルーツジュースは酸味が強すぎる
マスタードは味も香りも強すぎる
アボカド、オリーブ、マヨネーズが好み
しょっぱいものが好き
甘いものは、甘すぎることが多い。
ベーコンを肉と一緒に食べるのが好き
コーヒーを飲むと不安神経症のようになる。
朝食が必要
吐き気のあるときしょっぱい物が良い
2-3時間ごとに食べないと力が入らない。
良く焼いたローストビーフが好き

スロー酸化型

グレープフルーツジュースが好き
マスタードが好き
アボカドは油っぽく感じる
甘いもの、酸っぱいものに目がない
甘いものを食べると食欲が増す
肉と玉葱を一緒に食べるのが好き
コーヒーが好き
朝食が欲しくない
吐き気があるときに甘いものや酸っぱいものが良い
喉が渇き水をたくさん飲む

実際の応用
 この代謝型による分類によって各人に合った食べ物の種類を選択できる。 急速酸化型は、炭水化物の少ない、蛋白質の多い食事に適量の脂肪やプリン体の多い食品があっている。 それと対照的に、スロー酸化型は、脂肪が少なく炭水化物の多い食事にプリン蛋白の少ないもの例えば卵、ミルク、チーズ、魚などが合っている。 バランス酸化型では、両方の中間が合っている。


この研究のもうひとつの応用では低血糖症をコントロールするのにプリン体を含む食品を使う。プリン体は、DNAやRNAの遺伝子コードを作るのに必要な4つの塩基のうちの2つで、プリン体は脂肪の分解吸収を助け低血糖症の治癒の補助になる。一般的には低血糖症の患者には高蛋白で食事回数を増やすことが言われる。この場合、蛋白質やその他の食品にプリン体を多く含むものが低血糖小食の効果を高める働きがある。特に蛋白質の摂取量が少ない菜食主義者にとっては、重要な検討事項である。 

 この方法によって栄養補助プログラムを作る場合注意したいことがある。ビタミンやミネラルは、炭水化物や脂肪を燃やす以外に様々な働きがある。特殊な場合を除いてこの方法だけで栄養補助プログラムを立てることは不可能。しかし、適当な所要量を考える時スローや急速酸化型を配慮することは可能である。例えば、急速酸化傾向のある人は、高用量のビタミンC,葉酸、ナイアシン、ビタミンB6、その他炭水化物の酸化速度を早める栄養素を与えられると気分が悪くなることがある。

結論

Dr.ワトソンは、自分の方法が万能薬でないことを認めているが、炭水化物消化の障害を認識するのに有効で、この問題に取り組むための栄養補助や食事の指標として役に立つ。

バージニア・ワージントンは、ワシントンDCで栄養カウンセリングをしている。連絡先は; (202) 452-0060.

編者注;精製した甘味料や植物油を大量に使うことは、いかなる代謝タイプにも推奨できません。

参考文献

  1. ワトソン G (1972). 栄養と心. Harper & Row. New York.
  2. ストース(Stauth) C (1982). ガンへの新たな対応(The New Approach to Cancer. English Brothers Press. New York. p.121.

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page last modified:  01/18/2001

 

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