虫歯の根管治療と病巣感染
    
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虫歯の根管治療が隠す病巣と感染

ジョージ E. マイニグ, DDS, FACD

編集者注:
マイニグ博士の「根管治療が隠すもの」(Root Canal Cover-up: Bion Publishing 1993年PPNFより入手可)には、ウェストン・A・プライス博士が25年に亘って行った周到で精細な根管治療研究が書かれている。 原本は、全部で1174ページに及ぶ2巻の大部からなる物だが、このプライス博士の業績は、マイニグ博士が一般人が分かるようにプライスの科学的発見を「根管治療の隠すもの」として翻案するまで日の目を見ることはなかった。 以下の報告は、プライスの根管治療で発見したものを記し、これをマイニグ博士が一般に知らせるための努力を詳しく記したものである。

プライス・ポッテンジャー栄養基金は、ウェストン・A・プライス博士の記念碑的業績である「食生活と身体の退化(Nutrition and Physical Degeneration)」を一般に普及するために1965年9月11日に設立されました。 この本では、人間の身体の退化は、本質的な栄養問題であることをはっきり示しています。 この本によってプライス博士の名が知られるようになりました。。

過去31年間、PPNF基金は博士の実績に対する関心の増加に応えて「食生活と身体の退化(Nutrition and Physical Degeneration)」を重版してきています。

基金は、プライス博士の膨大な歯科研究データを管理してきました。 彼の驚嘆に値する業績は2冊の本以外に220の論文で発表されており、歯科や医学論文の中に見られます。 残念ながら、最近までプライスの歯科研究は埋もれてしまっていました。

プライスの研究の多くは、歯科感染、口腔及び全身の歯科感染(Dental Infections Oral & Systemic)と歯科感染と退化病 (Dental Infections and the Degenerative Diseases)という重要な2巻に収められています。 これらの2巻はPPNF図書に長くあったのですが、基金がこの重要性に気付いたのはほんの4年前でした。 この2巻は、プライス博士の研究が70年前に歯科医と医者の小さなグループが病巣感染論を受け入れなかったため独断的に抑圧され、埋もれてしまっていました。
うさぎ5,000匹以上を使った数千の動物実験、周到で優れた根管治療研究にもかかわらず、プライス博士の25年に及ぶ科学的追及は見事なまでに隠蔽され今日では彼の発見を知る歯科医は一人も生きていません。


私たちが敬愛してやまないPPNF理事パット・コナリー女史は、その重大性を知らされたとき、この2巻を私のところへ持ってきました。 パットは、私が世界的根管治療の研究指導の権威であるエドガー・クーリッジ教授のもとで卒論を研究していたことを覚えていました。 私が、根管協会を立ち上げた19人の一人であること、 アメリカ歯内治療学会(歯内治療医は根管治療の専門家のこと)に長く関わっていることを知っていたのです。 事のところ、私が20世紀フォックス映画スタジオの新しい歯科医院の管理者に任命されたのは、栄養と根管治療の知識があったからなのです。


パット女史は、PPNFの貴重な2巻のコピーを差し出して、プライス博士の根管研究を読んで理事会に分かったことや業績をどう評価するかを報告して欲しいと言ました。
二巻に目を通してすぐにプライス博士の研究が周到でよく出来ていることが分かった。 彼が何故歯の専門研究者として尊敬されていたかがすぐわかったのです。

研究と何千もの動物実験の骨子は:根管充填された歯は、どんなに良く見えてもどんなに良く感じていても皆感染したままだということです。


プライス博士は、細菌感染が多くの退化病を伴うのではないかと疑っていました。 始めは、どの細菌が関与しているのか、どうしてこれほど多くの病気を引き起こせるのか分からなかったのです。 しかし、確実に記憶していることがありました。それは、開業医が感染箇所から取り出した細菌を培養し、それを動物に注射すると病気が再現する事を確かめ病気の原因を特定できることです。


プライス博士は、これらの感染が歯に起因するのではと考えていました。 そこで根管充填されて抜歯されたものを、動物の皮下に埋めてみることにしました。 病気をおこす細菌が居れば、医者が培養したものを動物に注射して病気を起こすことで得られるのと同じ証拠が得られると感じていたのです。 そしてそれが、実際に起こりました。 根管充填された歯を実験動物の体内に埋め込むと、患者の病気が動物に移ることが分かったのです。 いかなる病気であろうと患者の患っていた病気は、その抜いた歯を皮下に埋め込まれた動物は患者と同じ病気に掛かったのです。


つまり、患者が心臓病だった場合、動物も心臓病を起こすのです。 腎臓の病気があれば、腎臓病が動物に移る。 関節に障害があれば、動物の関節も同様に障害が出る。 この原理は、人の全ての病気に当てはまりました。 動物は、患者のどんな病気でも掛かったのです。

プライス博士が見つけた細菌は、ストレプトコッカス族が殆どで、スタフィロコッカス、スピロヘータ、カビなども見つかっています。 患者が根管治療を受けた歯が一本以上あれば、治療した歯それぞれに対応した別々の組織が感染していることも分かりました。 これが、歯からの色々な病気を同時に患っている人が居ることの理由なのです。 感染した根管は、免疫システムにも悪影響があり、いくつもの病気の原因になっています。 

プライス博士は、一体細菌がどうやって根管治療した歯に生存し続けるのか長い間分かりませんでした。 自分の根管の感染治療の経験から消毒薬が細菌を抑えていると考えていました。 何千回もの実験でこの仮定が間違っていることが分かりました。


プライス博士は、歯の95%を構成する象牙質が石のようにぎっしり詰まった塊ではなく、非常に小さな細管で構成されていることを発見しました。 損傷を受けていない象牙質細管には、歯を生かし健康を保つ栄養豊かな液が入っています。 この栄養分は、根管内の神経や血管につながっている動脈によって全ての細管に毎日供給されているのです。 ちょうど動脈が体の隅々の細胞に栄養分を送っているように。


虫歯が進んで歯が傷むと、歯科医がそこを除去して詰め、歯を治療するのが一般的です。 しかし、虫歯を放っておいたり、根管に進行するまで気付かなかったりした場合、神経や血管が細菌に侵されてしまいます。


細菌は、急速にそれも易々と根管全体に広がり、当然細管とその中の栄養分も見つけます。 実は、細菌にとって細管は成長し増殖する格好の新しい巣窟なのです。


プライス博士の研究と共に発表された顕微鏡写真には、象牙質細管に細菌が居るのが写っています。 殆どの歯科医は象牙質細管があることは知ってはいたが、細菌がその中に住みついているということを聞いたのはここ2−3年のことです。 私自身4年前にプライス博士の写真を見るまでは、全く聞いたことがありませんでした。 この写真の入った研究がその昔1923年に行われていたのだから全くの驚きです。


この写真は、私の本「根管の隠蔽」の中に最近の電子顕微鏡写真と共に収められています。 電子顕微鏡写真にはこの細管と細菌を5000倍まで拡大して、文末のピリオドよりもずっと小さな細菌を豆ほどの大きさに見えるようにしています(後出)。


象牙質細管に細菌が居ることや、この細菌が体中に逃げ出してかなりの数の退化病を起こしていることを知っている歯科医は殆ど皆無です。

あなたの歯科医は、根管治療の際に使う殺菌剤が、これらの細菌を根絶やしにすると思っているかもしれません。 治療によって根管の細菌の殆どを殺すことは間違いないが、プライス博士は実験した100以上の消毒薬がどれ一つとして細管に入り込めないのを発見しています。 同じことが、今日の抗生物質にも言えます。


細菌は、根管充填によって栄養分の供給が絶たたれるから死に絶えるという歯科医も居る。 残念ながらそうはならない。 実際は、細菌は突然変異して形を変えることが出来るのです。 環境の変化がこの細菌をより強化しその毒も更に強力になることをプライス博士は見出しています。 このプライス博士の発見が、最近、ドイツの腫瘍研究者ジョセフ・イッセル博士によって確認されていて、この細菌の出す毒が第一次世界大戦でドイツが使用したマスタードガスに化学組成が近いことを発見しています。 


根管で起きているのと同様、細菌は抗生物質に対応して突然変異し、変化し適応する多様形質のため、現在殆どの病気の原因になっている細菌を抗生物質ではもはや殺すことが出来なくなっています。 これらの細菌は、殆どの病気に関わっています。


象牙質細管に閉じ込められているように見える細菌がどうやって逃げ出して体のほかの部分へ行けるのか。 根管治療した歯の細管や根管側支周辺には何十億という細菌が歯全体に居て、そちらへ逃げ出せる。 そこから歯の周辺の歯槽膜に移動する。 歯槽は硬い繊維質の膜で歯を骨に固定し抜け落ちるのを防いでいる。


細菌は、更に歯槽膜全体に回ります。ここから周りの骨構造に逃げ出すのは容易なことです。 ガン細胞が転移することは、誰でも知っています。ガン病巣から離脱して他の腺、臓器、組織に移動する。 同様に、細菌が歯の歯槽骨に入り込むと、顎の血流にも入り込み、転移して血管を通って他の腺、臓器、組織に移り全く新たな感染を起こす。 


これを「病巣感染」と呼び、体のある部分の感染が他の部位へ移動して新たな感染巣を形成する場合に起こします。 私が設立に関わり生涯会員資格をもつアメリカ歯内治療学会によると、病巣感染論は何年も掛かって無効である事が証明されているといいます。 これは、間違った前提に基づくものです。


間違うようになったのにはいくつか理由があります。 まず、根管治療を受けた人でも25−30%の人は何年も一見さしたる弊害もなく過すということ。 プライス博士は、この点についても研究しています。 そして分かったことは、このような人たちは退化病の経験がなく通常強い免疫力を持っていて、その免疫力が細菌を食べ尽くし病気になるのを防いでいるということです。 しかし、博士はこのような人たちも重大な事故にあったり風邪をこじらせたり強度のストレスに見舞われると、それまで守ってくれていた免疫システムも耐え切れずに退化病に掛かるということを発見しています。


では、もともと免疫力が低い70%の人はどうか。 プライス博士が見出したことで我々も現在わかっているのは、こういう人達は遥かに早く退化病を発症すること、そしてその多くが根管治療直後だということです。


歯内治療歯科医の歯を残そうとする努力は、望ましくもあり賞賛すべきものではあるが、あまりにも熱心なため患者を亡くすことが多い。 彼らは、根管治療の有効性を示す研究を数多く引き合いに出すが、象牙質細管に居る細菌については一度も触れたことがありません。 プライス博士の発見を否定するのであれば、同僚の医師が検証する研究でそれが間違っていることを証明すべきです。 彼らが、「この研究は昔のもので反証されている」というのは単なる言い分、それも科学的根拠のない言い分に過ぎないのです。 

1944年の歯内治療ジャーナル4月号で、会長の座を退くエリック・J・ハビランドDDS,MEd、MBAは、かつては歯内治療医師は研究者であることを誇りに思っていたものだが、「今はずいぶんと変わって」しまったと述べています。 今では、新製品や「業者が先導する」機材の進歩が話題の中心です。 科学、生物学はどこへ行ってしまったのか、科学こそこの専門職の基本であり続けなければならないと。


私がプライス博士の根管研究を公表し始めたので、アメリカ歯内治療学会が彼の発見を真剣に取り上げて象牙質細管に居る細菌をいかに殺すかの研究を始め、歯の感染をうまく治療できるようになることを期待しました。 今のところ、これらの問題を直視していません。 しかし、自立心の強い歯科医の何名かは、新たな違った方法を取り始めています。 超音波、レーザー、コロイド銀、にんにく、エンダーレーン・サナム(Enderlein sanum)療法、栄養、フランス酸化カルシウム療法、祈りが現在研究されている方法です。 一般の人たちがようやく感染した歯の抜歯に関心を持ち、よりよい解決策を待ちきれなくなっていることは嬉しいことです。 科学的でありかつ実際の治療に当って安全を確保するには時間が掛かることを知っておいて戴きたい。 このような研究には根気が必要で、我々が現在直面する状況に対峙する力が要求されるのです。

今根管治療した歯をもつ人は、健康状態を維持することが最大の養生です。 感染歯の免疫システムに与える影響を良く考える必要があります。 退化病を患っている人でも長生きする人も居るが、そのような長寿も苦痛や不具であることが多くあります。 それに、退化病が寿命を縮める事が多い。 根管充填した歯を抜くか抜かないかを考える際に直面する最大の問題です。 つまり、免疫システムがどれくらい健全なのか、どれくらいの期間持ちこたえられるのかということです。

代替医療とか機能的医療には、一人一人が自分の健康に責任を持つ精神が要求されます。 そのためには、自分の問題を出来る限り知る必要があります。 根管や歯周の病気があれば、これに関する情報を得る最善の方法は、私のプライス博士の研究に関する報告書「根管問題隠蔽(Root Canal Cover-Up)」を読むことです。一般の医者や歯科医は研究で発見されたことを全く知らないことが多く、彼らの意見を判断するのに充分な知識が本書から得られます。

                象牙質細管内の病原細菌の様子
                        左がプライス博士のもの、右は最近の電子顕微鏡写真

プライス博士が当時撮影した顕微鏡写真
左側が右側の写真を拡大したもの

現在の電子顕微鏡で撮影した象牙質細管に巣食う細菌の様子、球菌や桿菌が見られる。

あなたが専門家だったり技術的データを解釈できるなら、PPNF事務所に連絡してプライス博士の原本2冊(Dental Infection Vol.T&Vol.U)を入手しても良いでしょう。 

根管治療を何年も行ってきた者として、私にはプライス博士の文献は非常な衝撃でした。

何百万人もの人が、根管治療してもなお感染しており、そのために病気を患っているということが非常に気掛がかりになったのです。 

この問題を上手く一般に、保健専門家に知らせるのに必要な背景を持つ人をPPNFがどうやって探せるだろうかと心配になりました。プライス博士の2巻の本のコピーを作って専門家が入手できるようにするだけなら問題はないだろうが、それではプライス博士の研究が確実に埋もれたままになってしまう。 公的に教えられなければ駄目なのです。

30年に亘るPPNFでの活動と専門的な背景から、私が社会と医療関係者にプライス博士の根管研究で発見したことを伝えるのにふさわしい役回りだったようです。 これは、多くの同僚や友人を遠ざけたり、恨みや怒りを買うことは確実だったので難しい決断でした。 一方、これら歯と口腔感染のために多くの人が病気になっていることも知っていました。 この苦渋の選択を思い巡らしているうちに、私は機会が与えられたのです。神の思し召しでしょう、プライス博士の研究と個人の健康状態の関わりを世界中の人に知らせる名誉に思い至ったのです。

1993年6月25日に初版が刷り上ってきました。 7ヶ月で完売です。 この間、私は虫歯を抜いた後の顎の骨の穴が感染している問題についても多く知るようになりました。 それで第2版では24章を書き直して、他にも多少変更を加えました。 書名を短くしカバーも変えました。 幾分印刷数を増やしたが1年で売り切れました。 1996年4月には、第4版がだされました。

出版社や物書きに言わせると自費出版にしては非常に良い記録なのだそうです。 1996年に、私は21の団体(殆どが医療、歯科などの保健医療関係)に講義をし、ラジオ局21社、テレビ局2社のインタビューを受けました。 これらに出演したことで本の販売が伸びました。

根管治療の深刻な副作用に関する情報が広がっていきました。 これの感染に苦しんできた人たちが発言し始めました。 3年前、根管協会は毎年2000万の根管治療が行われていると発表しました。 現在の退化病の流行のかなりの割合が、70年以上前のプライス博士の研究を隠してきたことによると考えるのが筋です。

多くの偉大な医学的発見には、病気を起こしている病原体を突き止める研究に何年も何年も掛かることがあるのはご存知のことと思います。殆ど全ての場合、一つの細菌が一つの病気を起こすのです。

プライス博士は、歯の感染には少なくとも20の細菌が原因していることを発見しています。 この20の細菌は、一つの病気ではなく数多くの口腔や歯の病気を起こしています。 しかし、もっと重大なのは、これらの菌が体の他の部分に現れる膨大な数の病気の原因になっているということです。 このプライス博士の発見には、他の医師が発見した病気のどれも遥かに及ばない。 プライス博士は、彼の発見全てに対しノーベル賞を授与されるべきだったが、彼の業績がもみ消されている間に機会を逸してしまいました。 

長い長い時間をかけて、この天才の業績を調べてきて、私はこう結論しました:

         ウェストンプライス博士が行った25年間の根管研究は、
         医学史上最も偉大な発見の一つである、と。

マイニグ博士の本, Root Canal Cover-Up, は、$19.95. プライス博士の本Nutrition and Physical Degeneration は$19.95, そして彼の業績を記す2巻の本は、Dental Infections and Degenerative Diseases $120でPPNFから入手できます。下記のメールアドレスへ注文してください。.

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page last modified:  01/18/2001

 

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